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太田 充昭
時代感を捉えたスタイリングと抜群の機能性で、大型スクーターの新時代を拓いたマジェスティ。その上位モデルとして、一層の快適性、走行性、そして操縦安定性を追求した“Grandマジェスティ”が2004年春に発売された。従来のマジェスティは“The Majesty”と呼ばれるまでにブランドイメージが確立したモデル。その高い評価を損なうことなく、新たなコンセプトをスタイリングに落とし込むにはどうすればよいのか――太田の奮闘が始まった。 Photo
要求スペックとユーザーの要望の狭間で焦り、揺れる。
「Grandマジェスティの商品コンセプトは、走行革新と快適性の向上でした」と太田。従来のマジェスティも都会の若者を中心にファッション性の高さで広く受け入れられていたが、それでは飽き足らないユーザーに向けて一層の機能性の向上を目指したのがGrandマジェスティだった。太田が取り組んだ第一の課題は「新しい商品コンセプトをどのようにスタイリングに落とし込むか」。最適解を見つけるため、複数のテイスト軸でスタイリングを検討し、スケッチや3分の1クレイモデルをユーザーに見せて市場が望むスタイリングを探っていった。

ところがユーザーの反応は太田たちの期待に反していた。多くのユーザーが、新商品にも既存マジェスティのイメージを踏襲して欲しいと言うのだ。太田によると「基本デザインは変えなくていい。サスペンションやエンジンなどを機能的によくしてくれれば十分と言うんです。マジェスティのイメージがユーザーに定着していた証明でもありますが、このままじゃ変わらないという焦りも感じました」。

ユーザーの強い要望ではあったが、既存イメージを踏襲するのが難しかった理由は別のところにもあった。Grandマジェスティは日本の街乗りだけでなく欧州の週末ツーリングにも余裕のパワーを搭載することが決まっていたのだ。つまりヨーロッパの高速化のニーズにも対応しようと、400ccエンジンを搭載し高速域の快適性に対応するスタイリングにする必要があった。より大径のタイヤやサスペンションストロークのアップといった足回りの強化、フレーム剛性を上げるためのCFアルミフレームの採用や、風防効果を得る前面投影面積の拡大といった、スタイリングに影響を与えるパーツの大型化も機能要件として必須事項であった。

「ですから、機能スペックから見るとどうしても大きくて違うスタイルになってしまうものを、“マジェスティらしい”スポーティで洗練されたイメージにまとめるという新しい課題が出てきてしまったんです」と太田は言う。

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