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コンセプトモデルだからこそ、必要とされるリアリティ。
そのため、ボディ(カウルではなく、あえてこう呼ぶ)は上半分を水平基調の面を持つ四輪車的な格調高いデザインとし、ボトムは二輪車らしいメカニズム感を表現した。さらに左右方向でも二面性を表現。フロント・リアともに片持ち式のアームを採用し、右側はクルマのようにホイールが前面に押し出され、左側ではアームがメカニカルな造形を見せるという、左右で全く印象の異なるデザインとした。

しかし、1/1クレイモデルを製作する段になって、笠原は大きな壁に直面することになる。「このモデルのコンセプトから、乗車姿勢は窮屈なものにはしたくなかったんです。今回はイメージスケッチで描いた伸びやかなライディングスタイルはどうしても妥協できなかった。そうして生まれたホイールペースが1800mmという数字でした、でもその数字の意味する立体の大きさは予想がつかなかった」

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課題は長大なホイールベースだけではなかった。面による押し出し感を意図したPJHのボディは、ショーモデルとはいえ「バイクではあり得ない」ボリュームを見る人に与えた。今回は縮小スケールモデルによるバランス確認をパスして直接1/1モデルを製作したこともあり、「夢を詰め込んだコンセプトモデルだからこそ、それが絵に描いた餅に見えてしまってはいけない。でもリアリティを追求するあまり、おとなしくなってもいけない。そのギリギリのラインとは、10人いたら5人が大変気に入ってくれて、既存観念にしばられた残りの5人は首をかしげる、そんなバランスだと考えています」。笠原は自らスクレイパーを握り、スケッチを修正し、インパクトとリアリティの融合するポイントを模索していった。約1ヶ月ぶっ続けの作業になったが、その結果、インパクトある面によるワイズ感をテーマにハイブリッドに対するヤマハの取組み姿勢を表現することができたと自負する。

そしてコードネームPJHは、正式に『LUXAIR』の名を与えられ、第40回TMSのヤマハブースの一角を飾った。四輪も含めて環境性能が大きくクローズアップされた出展が多い中、「大人の趣味財として環境性能と加速性能の両立」というLUXAIRのテーマは、近未来のヤマハが進む道を明確に示した。

「コンセプトモデルは、基本的にはショーの展示のみで終わる運命にあります。でも、数年して、『ああ、このモデルのデザイン源流は、あのLUXAIRにあったのか』と誰かが気付いてくれるような、近い未来の世界を描き出したつもりです」'03年のコンセプトモデル、マブリスの面影がマグザムやマジェスティに引き継がれていったように、LUXAIRのDNAを受け継ぐモデルが現れるかもしれない。その時、笠原の想いは本当に完結する。

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