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星野 茂
モペットが主流のASEAN4ヶ国にヤマハが初めて投入したスクーター、MIO。日本やヨーロッパ以上にグラフィックのクオリティが商品価値に大きな影響を与えるASEANで、スクーターの商品価値を確立する為、カラーリング&グラフィックを担当するのが星野である。デザイナーのワクを超えた異文化コミュニケーションに奔走する星野の行動を追う。 Photo
3ヶ月間、3ヶ国×2回、延べ100人以上との会話行脚
「MIO投入の初年度は、現地から報告される市場情報を頼りにカラーリングとグラフィックデザインをしていたんです」と星野は言う。初年度は、ASEAN伝統のビビッドなカラーと大面積のグラフィックのデザインバランスに焦点が注がれた。ちなみに日本やヨーロッパ向けスクーターのカラーリングやグラフィックデザインでは、ロゴマークや車体に対する色のバランスを取ることで、商品価値を作り出せた。車体の全面に張り込むダイナミックなグラフィックデザインの実績は少なく、今までのデザイン手法とは違う展開は、とまどいが大きかった。

市場投入初年度。スクーターの機能や商品イメージは当初の目論見どおり高く評価されたが、思わしくなかったのはカラーリングとグラフィックデザインへの評価だ。星野いわく「1年目は他部署からの情報を頼りにデザインをしていたので、小手先のテクニックに終始していた。現地のお客さんが本当に欲しがるデザインへの感性が抜けていたんです」。そこで、デザイナー自らが現地の感性を感じとりカラーリングやグラフィックデザインに落とし込むことができるようにと、星野のASEAN行きが決まった。

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エルム・デザイン全体で見ても初めてのASEAN。何から手をつけるべきか手探り状態の中で、星野はまず対象国であるインドネシア、タイ、ベトナムの3ヶ国で自らリサーチの指揮をとった。「ASEANではビビッドな色が受けると言われていましたので、その色域を中心に40種類以上のカラーサンプルを用意し、現地の子たちを集めて“どの色が好き?”って聞いていったんです。色の好みの統計をとるだけだったら、わざわざ現地に飛ぶ必要はありません。重要なのは“青が好きといった子が何人いました”っていうことではなくて、“どんな格好をしたどんなタイプの子が何を言ったか”ということなんですね。だから直接行って話をする必要がありました。(星野)」

合計滞在期間は1年で約3ヶ月。この間、MIOのターゲットとなりうる若い年代を中心に100人以上と会話をし、現地の感性を身体に染み込ませていった。フォーマルな場所だけでなく、日常生活を体感するためバイクタクシーに乗ったり、ファッショナブルな子たちが集まるスポットにわざわざ夜中に出かけたりと、まさに現地に入りこんだ調査を続けていった。

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